「米国株は好調なのに、円換算だとあまり増えてない……」
——そんな声が増えています。
2026年、ドル円相場は円高方向へのトレンド転換が進んでいます。日銀の利上げとFRBの利下げにより金利差が縮小し、これまでの「円安=米国株投資に有利」という構図が変わりつつあります。
新しい為替環境で、個人投資家はどう対応すべきか。為替ヘッジ戦略を中心に解説します。
為替環境の変化
円高トレンドへの転換
最近、円高になってきてるんですか?
はい、2025年後半から明確に転換しています。2025年1〜9月だけで、ドルは対円で6.4%下落しました。一時は1ドル=160円を超えていたものが、140円台まで戻ってきています。
| 時期 | ドル円レート | 要因 |
|---|---|---|
| 2024年中盤 | 160円超 | 日米金利差拡大 |
| 2025年末 | 150円前後 | 日銀利上げ開始 |
| 2026年予測 | 140円前後 | 金利差縮小継続 |
金利差の縮小
なぜ円高になっているんですか?
最大の要因は「金利差の縮小」です。日銀は2026年中に2〜3回の利上げが見込まれる一方、FRBは利下げに転じています。日米の金利差が縮まれば、ドルを持つ魅力が薄れ、円が買われやすくなります。
2026年の金融政策見通し:
- 日銀:2〜3回の利上げ予想
- FRB:2回程度の利下げ予想
- 結果:金利差縮小→円高圧力
J.P.モルガンは2026年末のドル円を140円、2027年3月には139円と予測しています。「ポストピークドル」の時代に入ったとの見方を示しています。
投資家への影響
米国株投資の「二重リスク」
円高だと、米国株投資にはどんな影響がありますか?
米国株が上がっても、円高によって円換算リターンが目減りするリスクがあります。例えば、米国株が10%上がっても、同時に円が10%上がれば、円ベースではほぼ横ばいです。
円高の影響シミュレーション:
| シナリオ | 米国株リターン | 為替変動 | 円換算リターン |
|---|---|---|---|
| 円安継続 | +10% | +5%(円安) | 約+15% |
| 為替横ばい | +10% | ±0% | 約+10% |
| 円高進行 | +10% | -10%(円高) | 約0% |
ヘッジコストの変化
為替ヘッジすれば解決しますよね?
それが単純ではないんです。為替ヘッジにはコストがかかります。これまで日米金利差が大きかったため、ヘッジコストは年率約4%と高水準でした。ただ、金利差が縮まればヘッジコストも下がる可能性があります。
為替ヘッジは先物取引などで為替リスクを回避する手法です。日米金利差がヘッジコストの目安になり、2025年は約4%/年でした。金利差縮小でこのコストは低下傾向にあります。
2026年の投資戦略
戦略1:ヘッジ型ファンドの検討
具体的にどうすればいいですか?
まず検討すべきは「為替ヘッジあり」の投資信託です。ヘッジコストが下がってきているので、以前より相対的な魅力が増しています。
為替ヘッジ型ファンドの例:
- eMAXIS Slim 先進国株式(為替ヘッジあり)
- たわらノーロード 先進国株式(為替ヘッジあり)
- iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり)
- 為替変動リスクを回避できる
- 円高局面で有利
- ヘッジコスト低下中
- ヘッジコスト分リターンが削られる
- 円安局面では不利
- 長期では「ヘッジなし」が有利な場合も
戦略2:ポートフォリオの分散
全部ヘッジ型に切り替えた方がいいですか?
一概には言えません。為替の方向を完璧に予測することは不可能です。私のおすすめは「ヘッジあり」と「ヘッジなし」を併用する分散戦略です。例えば、米国株投資の半分をヘッジあり、半分をヘッジなしにすることで、どちらに転んでもリスクを軽減できます。
分散戦略の例:
| 資産 | ヘッジ有無 | 配分例 |
|---|---|---|
| 米国株 | ヘッジあり | 25% |
| 米国株 | ヘッジなし | 25% |
| 日本株 | - | 30% |
| 債券 | - | 20% |
戦略3:日本株の再評価
日本株も検討した方がいいですか?
はい、円高局面では為替リスクのない日本株の相対的な魅力が増します。特に内需型企業や、円高で仕入れコストが下がる輸入関連企業は恩恵を受ける可能性があります。
円高で恩恵を受けやすい銘柄の特徴:内需中心の事業、原材料を輸入に頼る業種(食品、繊維など)、海外旅行・留学関連。逆に輸出比率の高い自動車・機械は円高がマイナス要因になりやすいです。
注意すべきポイント
長期投資の視点
短期的な為替変動を気にしすぎなくてもいいですか?
長期投資家であれば、その通りです。10年、20年のスパンで見れば、為替変動は平準化される傾向があります。短期の為替変動で一喜一憂せず、積立投資を継続することが重要です。
長期投資家の心得:
- 為替予測に賭けすぎない
- 積立投資で時間分散
- ポートフォリオ全体でリスク管理
- 定期的な見直しは年1回程度
税金への配慮
外貨建て資産を売却した際の為替差益は課税対象です。円高で売却すると為替差損が出る可能性がありますが、この損失は株式等の譲渡益と損益通算できます。確定申告の際は為替の影響も考慮しましょう。
まとめ
2026年の為替環境と投資戦略、ポイントをまとめます。
為替環境の変化:
- 円高トレンドへの転換
- 日銀利上げ・FRB利下げで金利差縮小
- ドル円は140円前後への予測も
投資への影響:
- 米国株の円換算リターンが目減りリスク
- ヘッジコストは低下傾向
- 日本株の相対的魅力が増加
推奨戦略:
- ヘッジあり・なしの併用で分散
- 日本株の比率を検討
- 長期投資の視点を忘れない
為替は予測不能——だからこそ分散が重要です。どちらに転んでも対応できるポートフォリオを心がけましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
よくある質問
J.P.モルガンは2026年末に140円、2027年3月に139円と予測しています。日銀の利上げとFRBの利下げにより、金利差縮小が円高圧力になっています。
2025年は日米金利差が大きく、年率約4%のコストがかかっていました。金利差縮小に伴い、ヘッジコストは低下傾向にあります。
為替の方向を予測するのは困難なため、「ヘッジあり」と「ヘッジなし」を併用する分散戦略がおすすめです。どちらに転んでもリスクを軽減できます。
10年、20年のスパンでは為替変動は平準化される傾向があります。短期の変動で一喜一憂せず、積立投資を継続することが重要です。ただし、ポートフォリオ全体のリスク管理は必要です。