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サンクコストの罠|「もったいない」が投資で損を拡大させる理由
投資戦略 投資基礎知識

サンクコストの罠|「もったいない」が投資で損を拡大させる理由

2026-01-05
2026-01-05 更新

「ここまで持ったのに今さら売れない」という心理がサンクコストの罠。埋没費用に囚われて損失を拡大させないための考え方と対策を解説します。

「ここまで我慢したのに、今さら売れない」「せっかく買ったのにもったいない」

この「もったいない」という感情が、投資で損失を拡大させる原因になることがあります。

この記事では、サンクコストの罠と、その対策を解説します。

サンクコストとは

サンクコスト(Sunk Cost)とは、すでに支払って取り戻せない費用のことです。日本語では「埋没費用」とも呼ばれます。

日常生活での例

  • 映画がつまらないけど、チケット代がもったいないので最後まで観る
  • 食べ放題で元を取ろうとして食べすぎる
  • 読みかけの本がつまらないけど、途中でやめられない

すでに払ったお金や時間は戻ってきません。それなのに、「もったいない」と感じて非合理的な行動をしてしまうのがサンクコストの罠です。

読者
読者

でも、もったいないと感じるのは自然では?

西山(資産運用アドバイザー)
西山(資産運用アドバイザー)

感情としては自然です。しかし、過去の費用は将来の判断に影響させるべきではありません。映画がつまらないなら、途中で出て有意義な時間を過ごした方が合理的です。

投資におけるサンクコストの罠

パターン1:損切りできない

最も多いパターンが、「ここまで持ったのに」で損切りできないケースです。

例:

  • 100万円で買った株が50万円に下落
  • 「50万円も損するのはもったいない」
  • 「ここまで我慢したのに今さら売れない」
  • 結果、30万円まで下落して損失拡大

すでに失った50万円は取り戻せません。重要なのは「今後どうなるか」です。

パターン2:塩漬け株を持ち続ける

「いつか戻るはず」と塩漬け株を持ち続けるパターンです。

問題点:

  • 資金が拘束される
  • 他の投資機会を逃す
  • 精神的なストレスになる

「持ち続けるコスト」も考慮すべきです。

パターン3:ナンピン買いの悪循環

「買値を下げるため」にナンピン買いを繰り返すパターンです。

例:

  • 1,000円で買った株が800円に下落
  • 「平均取得単価を下げよう」と追加購入
  • さらに600円に下落、また追加購入
  • 結果、大きな含み損を抱える

ナンピン自体は悪くありませんが、「買値を下げたい」という動機が問題です。

重要

ナンピン買いは「今後上がると確信できる場合」にのみ行うべきです。単に「買値を下げたい」という理由でのナンピンは危険です。

パターン4:時間のサンクコスト

お金だけでなく、「調べた時間」「分析した労力」もサンクコストになります。

例:

  • 何時間もかけて分析した銘柄
  • 「せっかく調べたのだから買わないと」
  • 冷静に見ると魅力的でなくても購入

時間をかけたことは、その銘柄が良いことの証明にはなりません。

サンクコストの罠に陥る心理

損失回避バイアス

人は利益よりも損失を過大に評価します。

  • 100万円得る喜び < 100万円失う悲しみ

この傾向が、損失を確定させることへの強い抵抗を生みます。

自己正当化

「自分の判断は正しかった」と思いたい心理が働きます。

  • 売却 = 自分の間違いを認めること
  • 持ち続ける = まだ間違っていないと思える

コンコルド効果

イギリスとフランスが開発した超音速旅客機「コンコルド」が由来です。

開発途中で採算が取れないと分かっても、「ここまで投資したのに」と開発を続け、最終的に大きな損失を出しました。

サンクコストの罠への対策

対策1:「今から買うか?」で判断

過去の投資額を忘れ、「今この価格で買うか?」で判断します。

実践方法:

  • 持っている銘柄を一度「売却した」と仮定する
  • 今の価格で「買い直すか?」と自問する
  • 買わないなら、売却を検討すべき
読者
読者

でも、すでに持っている銘柄を客観的に見るのは難しいです…

西山
西山

確かに難しいです。そこで、「友人に相談されたらどうアドバイスするか?」と考えてみてください。自分事だと感情的になりますが、他人事なら冷静に判断できることが多いです。

対策2:売買ルールを事前に決める

感情に左右されないよう、ルールを事前に決めておくことが効果的です。

ルールの例:

  • 「-15%で損切り」
  • 「業績が2期連続で悪化したら売却」
  • 「目標株価に達したら売却」

ルールを決めておけば、サンクコストに囚われにくくなります。

対策3:機会費用を考える

塩漬け株を持ち続けることの「機会費用」を考えましょう。

機会費用とは:

  • その資金を他に投資していれば得られたリターン
  • 例:塩漬けの50万円を年利5%で運用 → 年間2.5万円の機会損失

「持ち続けるコスト」を意識すると、損切りのハードルが下がります。

対策4:インデックス投資に切り替える

個別株でサンクコストに悩むなら、インデックス投資に切り替えるのも一つの方法です。

  • 個別銘柄への執着がなくなる
  • 長期で積立するだけでOK
  • 心理的な負担が軽減

対策5:定期的にポートフォリオを見直す

3ヶ月や半年ごとに、保有銘柄を見直す習慣をつけましょう。

見直しの視点:

  • 「今でも買いたいと思うか?」
  • 「当初の投資理由は今も有効か?」
  • 「他にもっと良い投資先はないか?」

正しい判断の考え方

ゼロベース思考

すべてをゼロから考え直す思考法です。

過去を忘れて考える:

  • 「今、手元に現金があったら、この株を買うか?」
  • 「今から投資を始めるなら、どうするか?」

将来キャッシュフローで判断

投資の価値は、将来得られるリターンで決まります。

  • 過去にいくら払ったかは関係ない
  • 今後いくらのリターンが期待できるかで判断

損失を学びに変える

損切りした経験を「授業料」と考えましょう。

  • なぜ失敗したのか分析する
  • 次の投資に活かす
  • 同じ失敗を繰り返さない

まとめ

サンクコストの罠について解説しました。

ポイント:

  • サンクコストは「すでに支払って取り戻せない費用」
  • 「もったいない」で非合理的な判断をしてしまう
  • 投資では損切りできない、塩漬け株の原因に
  • 対策は「今から買うか?」で判断すること
  • 機会費用も考慮する
  • 売買ルールを事前に決めておく

過去は変えられません。将来のために、合理的な判断をしましょう。

よくある質問

Q
Q1. 損切りしたらすぐに株価が戻ることがあります。どう考えればいいですか?
A

結果論です。売却時点では「今後どうなるか分からない」状況で判断しています。戻ることもあれば、さらに下がることもあります。ルールに従った判断なら、後悔する必要はありません。

Q
Q2. 塩漬け株はいつ損切りすべきですか?
A

「今でもこの株を買いたいか?」と自問してください。買いたくないなら、損切りして他の投資に回す方が合理的です。また、確定申告で損益通算できるタイミングも検討しましょう。

Q
Q3. ナンピン買いは絶対にダメですか?
A

「今後上がる」と確信できるなら、ナンピンは有効な戦略です。ただし、「買値を下げたい」という理由だけでのナンピンは危険です。根拠を持って判断しましょう。

Q
Q4. サンクコストに囚われない自信がありません。
A

誰でも囚われます。大切なのは「自分はバイアスの影響を受けている」と認識すること。事前にルールを決めておき、機械的に実行する仕組みを作りましょう。