「特定口座(源泉徴収あり)にしてるから、確定申告は関係ない」
そう思っている方、実は数万円〜数十万円の還付を受け損ねているかもしれません。
2026年(令和7年分)の確定申告期間は2月16日(月)〜3月16日(月)。この記事では、投資家が押さえるべき申告のポイントと、2026年の制度変更点を解説します。
特定口座(源泉徴収あり)でも確定申告が必要なケース
特定口座の「源泉徴収あり」を選んでいれば、証券会社が税金を自動計算・納付してくれるため、原則として確定申告は不要です。
ただし、以下のケースでは確定申告をしたほうが得になる、または申告が必要です。
- 複数の証券口座間で損益通算したい場合(A社で損失、B社で利益)
- 譲渡損失の繰越控除を使いたい場合(損失を翌年以降に繰り越す)
- 配当控除を受けたい場合(総合課税を選択)
- 外国税額控除を受けたい場合(米国株の配当等)
- 年間の所得が少なく、源泉徴収された税金が過大な場合
特定口座で税金が引かれてるのに、さらに申告すると得するんですか?
はい。源泉徴収は一律20.315%で引かれていますが、確定申告をすれば控除や通算で取り戻せるケースがあります。
特定口座の配当所得や譲渡所得を確定申告に含めると、合計所得金額が増えるため、配偶者控除・扶養控除の判定や国民健康保険料に影響する場合があります。申告前に必ずシミュレーションしましょう。
損益通算と繰越控除(3年間)を活用する
損益通算とは
上場株式等の譲渡損失と、配当所得・譲渡益を相殺できる制度です。異なる証券会社の口座をまたいで通算するには確定申告が必要になります。
繰越控除(3年間)
その年に損益通算しても引ききれなかった損失は、翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の利益と相殺できます。
| 年度 | 損益 | 繰越損失残高 |
|---|---|---|
| 2025年 | -100万円(損失) | 100万円 |
| 2026年 | +30万円(利益) | 70万円 |
| 2027年 | +50万円(利益) | 20万円 |
| 2028年 | +40万円(利益) | 0円(20万円分を相殺) |
繰越控除を受けるには、損失が出た年から毎年連続で確定申告が必要です。取引がなかった年も申告を忘れると、繰越の権利が失われます。
取引してない年も申告が必要なんですね。忘れそう…。
毎年2〜3月に「繰越控除の申告」を忘れずにやりましょう。e-Taxなら自宅から簡単にできますよ。
配当控除の活用法
上場株式の配当金は、確定申告で総合課税を選択すると「配当控除」を受けられます。
配当控除の控除率は、課税総所得金額1,000万円以下の部分で所得税10%+住民税2.8%です。
| 課税所得 | 所得税率 | 配当控除後の実質税率 | 源泉徴収(20.315%)との比較 |
|---|---|---|---|
| 330万円以下 | 10% | 約7.2% | お得 |
| 695万円以下 | 20% | 約17.2% | お得 |
| 900万円以下 | 23% | 約20.2% | ほぼ同じ |
| 900万円超 | 33%〜 | 約30%〜 | 損になる |
課税所得が695万円以下の方は、総合課税を選んで配当控除を使ったほうが有利になるケースが多いといえます。
NISAと確定申告の関係
新NISA口座で得た利益・配当金は非課税のため、確定申告は不要です。
ただし、注意すべき点があります。
- NISA口座の損失は損益通算・繰越控除の対象外
- NISA口座の配当金は外国税額控除の対象外(二重課税にならないため)
- 特定口座とNISA口座をまたいだ損益通算はできない
NISA口座で損失が出たら、特定口座の利益と相殺できないんですか?
残念ながらできません。NISAは非課税口座なので、損失もなかったものとして扱われます。これはNISAの数少ないデメリットの一つです。
iDeCoの小規模企業共済等掛金控除
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象です。会社員で年末調整済みの方は追加の申告は不要ですが、以下の場合は確定申告が必要です。
- 年末調整で控除証明書の提出が間に合わなかった
- 自営業・フリーランスの方(そもそも年末調整がない)
- 年の途中でiDeCoに加入した
2026年12月からiDeCoの拠出限度額が大幅に引き上げられる予定です(会社員:月23,000円→最大月62,000円)。ただし、2025年分の確定申告には影響しません。今後の掛金増額を検討している方は覚えておきましょう。
外国税額控除(米国株の二重課税を解消)
米国株の配当金には、まず米国で10%が源泉徴収され、さらに日本で20.315%が課税されます。実質的な税負担は約28.3%と重くなります。
この二重課税を調整するのが外国税額控除です。
具体例:100ドルの配当金
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 配当金(税引前) | 100ドル |
| 米国源泉税(10%) | -10ドル |
| 日本の課税対象 | 90ドル |
| 日本の税金(20.315%) | -18.28ドル |
| 手取り(控除なし) | 71.72ドル |
| 外国税額控除で還付 | 最大+10ドル |
外国税額控除を受けるには、配当所得を総合課税または申告分離課税で確定申告する必要があります。特定口座の源泉徴収だけでは還付されません。また、NISA口座の配当は対象外です。
米国で取られた10%は全額戻ってくるんですか?
必ずしも全額ではありません。控除額には上限があり、ご自身の所得税額によって決まります。ただし、多くの方は大部分を取り戻せるでしょう。
2026年(令和7年分)の制度変更ポイント
2025年分の所得に対する今回の確定申告では、いくつかの重要な変更があります。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 基礎控除の引き上げ | 48万円→58万円(特例で最大95万円) |
| 給与所得控除の引き上げ | 最低保障額55万円→65万円 |
| 扶養親族の所得要件 | 48万円→58万円に引き上げ |
| 特定親族特別控除の新設 | 大学生年代のアルバイト扶養枠が拡充 |
| 定額減税 | 令和6年限りの措置で今回は適用なし |
| マイナポータル連携拡充 | iPhoneでスマホ用電子証明書が利用可能に |
基礎控除が58万円に拡大されたことで、多くの投資家にとって課税所得が減り、税負担が軽減されます。
e-Taxでの申告手順(概要)
確定申告は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、自宅から完結できます。
スマートフォンまたはICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取ります。2026年からはiPhoneでもスマホ用電子証明書に対応しました。
証券会社から届く「特定口座年間取引報告書」を手元に準備します。マイナポータル連携を使えば、データの自動取得も可能です。
国税庁サイトの作成コーナーにアクセスし、画面の案内に沿って収入・控除・株式の譲渡損益などを入力します。
該当する方は「外国税額控除に関する明細書」や「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」も入力します。
入力内容を確認し、e-Taxで電子送信します。還付がある場合は、通常1〜2か月程度で指定口座に振り込まれます。
まとめ
- 特定口座(源泉徴収あり)でも、損益通算・配当控除・外国税額控除を受けるには確定申告が必要
- 損失の繰越控除は3年間有効だが、毎年連続で申告する必要がある
- 課税所得695万円以下なら配当控除(総合課税)が有利になりやすい
- 米国株の二重課税は外国税額控除で取り戻せる
- NISA口座は申告不要だが、損失は損益通算できない点に注意
- 2026年は基礎控除58万円への拡大など、投資家にもプラスの改正あり
- 申告期限は3月16日。e-Taxなら自宅から手続き可能
よくある質問
原則不要ですが、複数口座の損益通算、繰越控除、配当控除、外国税額控除を受けたい場合は確定申告が必要です。申告することで還付を受けられるケースも多くあります。
損失が出た翌年から最長3年間です。ただし、毎年連続して確定申告書を提出する必要があり、1年でも申告を忘れると繰越の権利が失われます。
できません。NISA口座は非課税口座のため、損失は税務上「なかったもの」として扱われます。損益通算・繰越控除の対象外です。
必ずしも全額ではありません。控除額にはご自身の所得税額に基づく上限があります。ただし、一般的な給与所得者であれば大部分を取り戻せるケースが多いです。
2026年(令和7年分)の確定申告期間は2月16日(月)〜3月16日(月)です。還付申告のみの場合は1月1日から提出可能です。e-Taxを利用すれば自宅から24時間申告できます。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。