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GPIFの運用実績から学ぶ|年金積立金250兆円の投資戦略と個人への応用
ポートフォリオ

GPIFの運用実績から学ぶ|年金積立金250兆円の投資戦略と個人への応用

2026-02-04
2026-02-04 更新

「年金は株で溶けている」は本当?GPIFの累積収益+180兆円超の実績と4資産均等配分の戦略から、個人投資家が学べるポイントを解説します。

「年金は株で溶けている」

「私たちの年金は大丈夫なの?」

SNSでこうした声を見かけることがありますが、実態は大きく異なります。日本の年金積立金を運用するGPIFの累積収益は+180兆円超。世界最大級の機関投資家が実践する投資戦略には、個人投資家にとっても参考になるエッセンスが詰まっています。

GPIFとは?世界最大級の年金運用機関

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、厚生年金と国民年金の積立金を管理・運用する組織です。

読者
読者

GPIFって聞いたことはあるけど、どれくらいの規模なんですか?

西山(資産運用アドバイザー)
西山(資産運用アドバイザー)

2025年9月末時点で運用資産は約277兆円。世界最大級の機関投資家で、「市場のクジラ」とも呼ばれています。

GPIFの運用目標は「長期的に年金積立金の実質的な運用利回り1.9%を最低限のリスクで確保すること」。派手なリターンを追うのではなく、安定的に国民の年金を増やすことを使命としています。

基本ポートフォリオ:4資産×25%のシンプル設計

GPIFのアセットアロケーションは非常にシンプルです。

資産クラス 配分比率 乖離許容幅
国内債券 25% 各資産±7〜11%
国内株式 25%
外国債券 25%
外国株式 25%

2025年度からの第5期中期計画でも、この4資産均等配分を継続することが決定されました。株式50%・債券50%という比率は、リスクとリターンのバランスを重視した結果です。

ポイント

GPIFはオルタナティブ資産(インフラ、不動産、プライベートエクイティ等)にも投資していますが、上限は全体の5%以内。あくまで4資産のコア運用が中心です。

「年金は株で溶けている」は本当か?

結論から言えば、長期では大幅なプラスです。

2001年の市場運用開始以来、2025年9月末までの累積収益額は+180兆1,843億円。収益率は年率+4.51%を記録しています。

読者
読者

でも、リーマンショックの時はすごく損したんじゃないですか?

西山
西山

確かに2008年度は約9.3兆円のマイナスでした。しかしその後の回復で損失を取り戻し、累積では大幅なプラスになっています。短期の損失だけを切り取って報道されがちなのが誤解の原因です。

四半期ベースで見ると赤字の期もありますが、長期では右肩上がりのグラフを描いています。2025年7〜9月期だけでも+14.4兆円の運用益を記録しました。

GPIFから個人投資家が学べる4つのこと

1. 分散投資の重要性

GPIFは国内外の株式と債券に均等に投資することで、特定の市場や資産に依存しないポートフォリオを構築しています。ひとつの資産が下落しても、他の資産がカバーする仕組みです。

2. 長期運用のリターン

年率+4.51%は、20年以上かけて積み上げた数字です。複利の力もあり、運用期間が長くなるほど累積収益は加速的に増えていきます。

3. リバランスの考え方

GPIFは基本ポートフォリオから一定以上乖離した場合、資産を売買して元の配分に戻す「リバランス」を行います。値上がりした資産を売り、値下がりした資産を買うことで、高値掴みを防ぎつつリスクを管理しています。

4. 短期の下落に動じない

読者
読者

GPIFが何兆円もマイナスになっても慌てて売らないのは、すごいですね。

西山
西山

まさにそこが重要です。長期目標が明確だからこそ、短期の変動に振り回されない。個人投資家も同じ姿勢が大切です。

注意

GPIFは四半期ごとに運用実績を公表するため、マイナスの期にはメディアで大きく報じられます。しかし長期の累積で判断することが正しい見方です。

個人投資家がGPIF風ポートフォリオを再現する方法

方法1:バランスファンド1本で再現

最もシンプルなのは、eMAXISバランス(4資産均等型)を1本購入する方法です。国内株式・外国株式・国内債券・外国債券に25%ずつ自動配分され、リバランスも自動で行われます。

メリット
  • 1本で4資産均等配分が完了
  • リバランスが自動
  • 手間がかからない
デメリット
  • 信託報酬がやや高め(年率0.55%程度)
  • 配分比率のカスタマイズができない

方法2:4本の投信を自分で組み合わせ

コストを抑えたいなら、インデックス投資の低コストファンドを4本組み合わせる方法もあります。

資産クラス 投信の例 信託報酬(税込)
国内株式 eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) 0.143%
外国株式 eMAXIS Slim 先進国株式 0.09372%
国内債券 eMAXIS Slim 国内債券 0.132%
外国債券 eMAXIS Slim 先進国債券 0.154%

4本を25%ずつ購入し、年1回程度リバランスすれば、GPIFとほぼ同じ運用を低コストで再現できます。

コツ

リバランスは年1〜2回で十分です。頻繁に行うと売買コストや税金が発生するため、年末や誕生日など決めた時期にチェックするのがおすすめです。

まとめ

  • GPIFは約277兆円を運用する世界最大級の年金基金で、累積収益は+180兆円超
  • 基本ポートフォリオは4資産×25%のシンプルな分散投資
  • 「年金は溶けている」は誤解。長期では年率+4.51%の実績
  • 個人投資家も分散・長期・リバランス・冷静さの4つを学べる
  • eMAXISバランス(4資産均等型)1本、または低コスト投信4本で再現可能

よくある質問

Q
Q1. GPIFの運用が赤字になることはありますか?
A

四半期単位では赤字になることがあります。しかし2001年の運用開始以来、累積では+180兆円超のプラスです。短期の結果ではなく、長期の累積で評価することが重要です。

Q
Q2. GPIFの基本ポートフォリオは変わることがありますか?
A

5年ごとに見直しが行われます。2025年度からの第5期中期計画でも4資産25%ずつの配分は維持されました。大きな変更はなく、安定した運用方針が続いています。

Q
Q3. 個人がGPIF風のポートフォリオを作るにはいくら必要ですか?
A

eMAXISバランス(4資産均等型)なら100円から購入可能です。4本の投信を組み合わせる場合も、各100円から積立できるため、少額から始められます。

Q
Q4. GPIFの運用成績はどこで確認できますか?
A

GPIFの公式サイト(gpif.go.jp)で四半期ごとに運用状況が公表されています。累積収益額や資産構成比率などを誰でも閲覧できます。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。