2026年、テクノロジー業界で前例のない規模の投資が始まります。
Amazon、Alphabet(Google親会社)、Meta、Microsoftの4社が発表した2026年の設備投資額は、合計で約6,500億ドル(約100兆円)。前年の3,810億ドルから67〜74%の増加で、その大半がAIインフラ(チップ、サーバー、データセンター)に投じられます。
この巨額投資の恩恵を受ける半導体・AI関連株について、日本の個人投資家向けに解説します。
Big Tech 4社のAI設備投資
各社の投資額
| 企業 | 2026年設備投資額 | 前年比 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Amazon | 約2,000億ドル | 大幅増 | AWS データセンター |
| Alphabet | 1,750〜1,850億ドル | 大幅増 | Google Cloud / AI |
| Microsoft | 約1,450億ドル | 大幅増 | Azure / OpenAI |
| Meta | 1,150〜1,350億ドル | 大幅増 | Llama / AIインフラ |
| 合計 | 6,350〜6,650億ドル | +67〜74% | AI中心 |
6,500億ドルって、想像がつかない金額ですね...。
日本円に換算すると約100兆円です。日本の国家予算(一般会計)が約115兆円ですから、4社の設備投資だけで日本の国家予算に匹敵する規模になります。
なぜこれほどの投資をするのか
生成AIの学習・推論には膨大な計算能力が必要です。ChatGPTのような大規模言語モデルの訓練には数万台のGPUが必要で、推論(ユーザーへの応答)にも大量のサーバーが稼働しています。AIの利用者が急増する中、インフラの不足が各社の最大のボトルネックとなっています。
この投資の75%以上(4,500億ドル超)がAIインフラに充てられると見られており、データセンターの建設、GPUの調達、電力インフラの整備が中心です。
恩恵を受ける注目銘柄
米国株
NVIDIA(NVDA)──AI半導体の王者
NVIDIAは現在のAIブームで最も直接的に恩恵を受けている企業です。2025年8〜10月期(FY2026 Q3)のデータセンター売上高は512億ドル(前年比+66%)を記録し、Q4は650億ドルの見通しです。
- データセンター向けGPUで圧倒的シェア
- 2027年にかけてデータセンターGPUの売上は1,720億ドル規模へ
- 次世代アーキテクチャ「Rubin」が2026年後半に投入予定
TSMC(TSM)──先端AIチップの唯一の製造者
- NVIDIAやAppleの最先端チップを独占的に製造
- 2026年の設備投資は480億ドル超(前年比+20%)
- 2nm(ナノメートル)プロセスの量産開始で競争力をさらに強化
- 2026年の売上成長率は約30%と予測
日本株
東京エレクトロン(8035)──半導体製造装置の世界大手
- 半導体製造に不可欠な装置(エッチング、成膜など)を供給
- TSMCの設備投資拡大が直接的な追い風
- AI向け先端半導体の製造には最新鋭の装置が必須
- 日本の半導体関連株の中で最大の時価総額
アドバンテスト(6857)──NVIDIA向け売上の成長
- 半導体テスト装置でグローバルトップクラス
- FY2025 Q3(2025年10〜12月期)のシステムテスト事業売上は前年比+51.1%
- 通期営業利益予想を21.4%上方修正(4,540億円へ)
- AI半導体のテスト需要拡大で過去最高の業績
ディスコ(6146)──半導体の切断・研磨
- 半導体ウエハーの切断・研磨で世界シェアトップクラス
- AI半導体の増産に伴い、加工装置の需要が拡大
- 高い利益率と技術的な参入障壁
ルネサスエレクトロニクス(6723)──エッジAIチップ
- 自動車・産業機器向けの半導体大手
- エッジAI(クラウドではなく端末側でAI処理)チップに注力
- データセンターだけでなく、エッジ領域でのAI需要も拡大
注目銘柄の比較
| 銘柄 | 市場 | AI関連の強み | リスク |
|---|---|---|---|
| NVIDIA(NVDA) | NASDAQ | AI GPU圧倒的シェア | バリュエーション高い |
| TSMC(TSM) | NYSE | 先端チップ独占製造 | 地政学リスク(台湾) |
| 東京エレクトロン(8035) | 東証プライム | 製造装置世界大手 | 半導体サイクル依存 |
| アドバンテスト(6857) | 東証プライム | テスト装置、NVIDIA向け | 特定顧客依存 |
| ディスコ(6146) | 東証プライム | 切断・研磨世界トップ | 競合参入リスク |
| ルネサス(6723) | 東証プライム | エッジAIチップ | 自動車市場の変動 |
日本の個人投資家が投資する方法
方法1:NISA成長投資枠で個別株
新NISAの成長投資枠(年間240万円)で、上記の日本株・米国株に直接投資できます。
SBI証券や楽天証券では、NVIDIAやTSMCなどの米国株をNISA口座で購入可能です。為替手数料と売買手数料に注意しましょう。NISA口座なら売却益・配当金(国内課税分)が非課税になります。
方法2:半導体ETF(SOX指数連動)
個別株のリスクを分散したい場合は、半導体ETFが選択肢です。
- iShares Semiconductor ETF(SOXX):米国上場、SOX指数連動
- ニッセイSOXインデックスファンド:日本の投資信託、SOX指数連動(円建て)
- グローバルX 半導体関連 日本株式ETF(2644):日本の半導体関連株に投資
ETFと個別株、どちらがいいでしょうか?
半導体業界に詳しくない方はETFから始めるのが安全です。個別株は1銘柄の値動きが大きいため、「NVIDIAが正しいと確信している」場合を除き、ETFで分散するのがおすすめです。
方法3:S&P500インデックスで間接投資
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)にはApple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Alphabet、Metaなどが上位に含まれています。個別の半導体株を選ぶ自信がない場合、S&P500インデックスファンドでAI関連企業に間接的に投資することも可能です。
リスク要因──楽観だけでは危険
1. 設備投資バブルの懸念
6,500億ドルの設備投資が本当に回収できるのか、という懸念が市場に広がっています。2026年2月6日には、Big Techの巨額設備投資発表を受けてテック株が一斉に下落する場面もありました。「投資した分だけAIの売上が伸びる保証はない」という冷静な見方も必要です。
2. バリュエーションの高さ
NVIDIAをはじめとするAI関連株は、すでに高い成長期待が株価に織り込まれています。成長が期待通りに実現しなければ、株価の大幅な調整が起きるリスクがあります。
3. 集中投資リスク
AI・半導体セクターに集中投資すると、セクター全体の調整局面で大きなダメージを受けます。2025年1月のDeepSeekショックでは、NVIDIAの株価が一時約34%下落しました。
AIの成長は本物ですが、だからこそ投資家の期待も高く、株価には「完璧な成長」が織り込まれている場合があります。半導体株に投資するなら、ポートフォリオ全体の10〜20%程度にとどめ、残りは分散投資を維持することをおすすめします。
まとめ
Big TechのAI設備投資と半導体投資のポイント:
- 4社合計で2026年に約6,500億ドル(約100兆円)のAI設備投資
- 前年比67〜74%の増加、大半がAIインフラ向け
- 恩恵を受ける銘柄:NVIDIA、TSMC、東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコ
- NISA成長投資枠で個別株・ETFに投資可能
- バリュエーション高騰と設備投資バブル懸念のリスクあり
- ポートフォリオの10〜20%を目安に、分散投資を心がける
AI革命は始まったばかりですが、投資においては「正しいテーマ」であることと「正しいタイミング・価格」であることは別の話です。冷静な分析と適切なリスク管理を忘れずに。
よくある質問
大半がAIインフラ(データセンター建設、GPU調達、電力設備)に充てられます。AIの学習と推論には膨大な計算能力が必要で、4社ともインフラ不足がボトルネックとなっているため、前年比67〜74%増の大規模投資に踏み切っています。
NVIDIAはAI半導体で圧倒的なシェアを持ち、業績も好調です。ただし、すでに高い成長期待が株価に織り込まれているため、短期的な調整リスクがあります。NISA枠で少額から積立する方法がリスクを抑えやすいでしょう。
東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)が代表的です。特にアドバンテストはNVIDIA向けテスト装置の売上が急増しており、FY2025 Q3のシステムテスト事業売上は前年比+51.1%を記録しています。
はい、成長投資枠で購入可能です。日本で買える主な選択肢として、ニッセイSOXインデックスファンド(投資信託)やグローバルX 半導体関連 日本株式ETF(2644)があります。つみたて投資枠の対象にはなっていないのでご注意ください。
懸念はあります。6,500億ドルの投資がAIの売上増で回収できるかは不確実です。ただし、ITバブル時と異なり、NVIDIAなどは実際に大幅な増収増益を達成しています。過熱感に注意しつつ、業績の裏付けがあるかを確認することが重要です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。